法律相談 Q&A
交通事故保険金と内妻の権利
私は自営業を営んでいた内縁の夫Aと25年間連れ添ってきましたが、夫は先日交通事故で死亡しました。私と夫の間には子どもはなく、夫には先妻との間の子Bが一人います。Bは、手続き上必要だからと言って私から委任状を取り付けて保険会社と交渉し、保険金 3000万円が支払われましたが、Bは「お義母さんは法定相続人でないから保険金はもらえません」と言って私にはまったくくれません。私も年で体が弱ってきており、途方に暮れています。内縁の妻には夫の事故死について何の権利もないのでしょうか。
内縁の夫婦とは、婚姻届をしていない事実上の夫婦をいいます。内縁であっても、永年夫婦として生活している場合はできるだけ法的にも尊重する扱いがなされてきていますが、相続権だけは現在でも認められていません。
死亡事故による損害は、主として慰謝料と逸失利益(その人が死なずに働いていたならば得られたであろう収入)がありますが、いずれも相続財産ですから、相続人であるBがこれを相続することになります。
しかし、内縁の妻であるあなたには、次のような権利があります。
まず慰謝料については、死亡やそれに匹敵する重大な後遺障害が残った事故については、近親者である内縁の妻としての固有の慰謝料を加害者に請求できます(民法711条)。
また、あなたは夫に対して扶養、扶助を請求する権利を有していたのですから、死亡事故によってその権利を侵害されたことになり、夫の逸失利益の中からその分を請求できることになります。
私が担当した類似の事案で、裁判所は保険金3000万円の内訳を死亡慰謝料1300万円、逸失利益1700万円とし、慰謝料のうち内縁の妻の固有の慰謝料として4割の520万円、また、逸失利益のうち3分の2の1160万円を内縁の妻の扶養請求権の侵害の分だとして、合計1680万円を認めたケースがあります(大阪地裁平成9年3月10日判決。なお、これは「いずみ」第1号で紹介したケースです→弁護士活動日誌1-1「内縁の妻の悲しみ」)。
死亡事故による損害は、主として慰謝料と逸失利益(その人が死なずに働いていたならば得られたであろう収入)がありますが、いずれも相続財産ですから、相続人であるBがこれを相続することになります。
しかし、内縁の妻であるあなたには、次のような権利があります。
まず慰謝料については、死亡やそれに匹敵する重大な後遺障害が残った事故については、近親者である内縁の妻としての固有の慰謝料を加害者に請求できます(民法711条)。
また、あなたは夫に対して扶養、扶助を請求する権利を有していたのですから、死亡事故によってその権利を侵害されたことになり、夫の逸失利益の中からその分を請求できることになります。
私が担当した類似の事案で、裁判所は保険金3000万円の内訳を死亡慰謝料1300万円、逸失利益1700万円とし、慰謝料のうち内縁の妻の固有の慰謝料として4割の520万円、また、逸失利益のうち3分の2の1160万円を内縁の妻の扶養請求権の侵害の分だとして、合計1680万円を認めたケースがあります(大阪地裁平成9年3月10日判決。なお、これは「いずみ」第1号で紹介したケースです→弁護士活動日誌1-1「内縁の妻の悲しみ」)。
(いずみ第8号1998/8/25発行)