1、総選挙の投票率について
10月31日は衆議院議員の総選挙。私は「野党共闘」を応援していますが、何よりも投票率がアップすることを願っています。
現在の小選挙区制という選挙制度では、50%程度の投票率だと、その過半数の25%くらいの支持を得れば、衆議院の議席の大半を取れるのです。これでは、地縁・血縁や業界・企業・団体ぐるみ選挙で集票力のある政党が圧倒的に有利になってしまいます。
現在の格差社会で苦しんでいる人たち、世界と日本の未来に最も影響を受ける若者たち、ジェンダー(社会的性差)に苦しんでいる女性たち、地域や社会から疎外された人たち、社会的なマイノリティの人たちこそが、そんな社会を変えるために、投票に行ってほしいのです。
そして、投票する際にどの政党や候補に投票するかを考え、悩むことにより政治や社会への理解が高まるし、投票することによって、その後の政治に対する関心も高まります。
衆院選を前に、秋元才加さん、小栗旬さん、菅田将暉さん、ローラさん、渡辺謙さんなど多くの芸能人が宣言する動画が公開され、話題になっています。
若い芸能人たちが、自分の言葉で語る言葉に、なぜか胸が熱くなります。
ぜひ聴いていただき、若い人たちに知らせてください。 https://www.huffingtonpost.jp/entry/voice-project_jp_616a4745e4b005b245bd5a83?fbclid=IwAR1QaOGiMbSWrZKrQrmQZJirgvB2ow6inck0LVvPZZ6ZaShD48hOWKCd4F8
2、最高裁裁判官の国民審査について
衆議院の総選挙と同時に行われる「最高裁裁判官の国民審査」というのは、とても重要な民主的チェックの機会ですが、ほとんど話題にも上がらないのは、
①「不信任」(×印)が投票総数の過半数にならないと罷免されないこと
②審査を受ける最高裁裁判官の実績についての情報が乏しいこと
③マスコミなどがわかりやすく解説しないこと が原因ではないかと思います。
根本的には、①が問題ですね。「信任(〇印)より不信任(×印)が多い場合に罷免される」という制度にすれば、最高裁はもっと国民の方を向くのではないでしょうか。一般の選挙では投票者の過半数がその候補に投票することは求められていないのですから、裁判官だけ特別扱いをしていることになります。
日本国憲法79条3項は、「前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。」とし、4項は「審査に関する事項は、法律でこれを定める。」となっているので、憲法を改正しなくても、上記のように法律を改正すれば変えられるのです。これについても、もっと議論になってほしいと思います。
(弁護士 岩城 穣)
(メールニュース「春告鳥メール便 No.42」 2021.10.29発行)