1 相続法改正~特別寄与者と特別寄与料~
相続法の大きな改正があったことは今年の1月のメールニュースでもお伝えしました。その時に紙幅の関係上ご紹介できなかった「特別寄与者と特別寄与料」について、ご紹介します。
2 問題となっていたところ 従来の相続法でも寄与分という仕組み自体はありました。具体的には、共同相続人の中に、亡くなった方(以下、「被相続人」といいます。)に対する療養看護などによって、その方の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときには、その貢献を「寄与分」として相続人の協議等によって定め、相続に反映させることができました。
しかし、寄与分を主張できるのは相続人に限られているため、被相続人の療養看護等をした人が相続人でなければ寄与分を主張することはできません。 例えば、長男の妻が、長男の父親を献身的に介護していた場合、長男の父親が亡くなって相続が発生しても、長男の妻は相続人ではないため、従来の寄与分制度ではこれまでの献身的介護による貢献を相続において反映させることができませんでした。
3 特別寄与者と特別寄与料
(1)特別寄与者と特別寄与料の創設(新民法1050条関係) 相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、「特別寄与者」として一定の要件のもとで、相続人に対して金銭(「特別寄与料」)を請求することができるという制度が創設されました。この制度に関する法律は、2019年7月1日に施行されます。
(2)先に述べた事例で言うと、長男の妻が無償で長男の父親の療養看護等をしたことにより、長男の父親の財産が維持された又は増加したと言えるような場合には、長男の妻は、「特別寄与者」として、相続人に対して「特別寄与料」を求めることができるようになりました。
4 具体的にどのような場合に特別寄与料を主張できるのか、相続が生じた後はもちろんですが、できればその前に、気軽に弊所弁護士までご相談ください。
(弁護士 安田 知央)
(メールニュース「春告鳥メール便 No.13」 2019.5.31発行)