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春告鳥 第15号
岩城弁護士の過労死問題最前線

◆2021年9月14日、脳・心臓疾患の労災認定基準が20年ぶりに改定されました。労災と認定される発症前の時間外労働時間(前月100時間、2~6か月平均80時間)という基準は維持されましたが、①時間外労働時間が概ね65時間以上あれば、労働時間以外の負荷要因を考慮して判断する、②労働時間以外の負荷要因が一定ある場合は、労働時間の状況も総合的に考慮して判断するとしたうえで、③労働時間以外の負荷要因について従前より詳細かつ具体的な基準を示しました。④特に「心理的負荷を伴う業務」については、詳細な「別表」を定め、別表2の「心理的負荷を伴う具体的出来事」の表では、精神障害の認定基準と同様に、「ノルマが達成できなかった」「退職を強要された」「パワハラを受けた」など具体的出来事として記載されました。まだ十分なものとはいえませんが、私たちの要求がある程度取り入れられたものであり、今後業務上認定が増えることが期待されます。

 また、引き続いて精神障害の認定基準についても、改定のための専門検討会での議論が始まっています。

◆2021年10月26日、「令和3年版過労死白書」が公表されました。過労死白書は過労死防止法に基づき、政府が国会に毎年行う年次報告書です。

 ポイントとして、①本年7月30日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下「大綱」という。)の変更経緯やその内容、②大綱が定める重点業種等のうち、自動車運転従事者、外食産業に関する労災認定事案の分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果(新型コロナウイルス感染症の影響を含む)、③長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況、などの報告のほか、企業でのメンタルヘルス対策や勤務間インターバル制度の導入など、過労死等防止対策のための取組事例がコラムとして紹介されています。

                              (弁護士 岩城 穣)

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