ようこそ!いわき総合法律事務所ホームページへ! トップへ
トップページ > 春告鳥 第14号
春告鳥 第14号
法律相談Q&A

 2020年4月1日の民法の改正に伴い、労働基準法も一部改正されたと聞きました。賃金請求権の消滅時効は、以前は2年だったようですが、これらの改正によって、何か変化はあったのでしょうか。

 

 2020年4月1日から改正民法が施行され、これに伴い、「労働基準法の一部を改正する法律」も同日から施行されました。

 これにより、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金請求権の消滅時効については、その期間を賃金支払期日から5年(改正前は2年)に延長しつつ(改正後労働基準法115条)、当分の間、その期間は3年という経過措置が適用されることになりました。なお、退職金請求権(5年のまま)などの消滅時効期間に変更はありません。

 賃金請求権の消滅時効期間については、民法(改正前民法174条1号)で1年とされていたのを(一年の短期消滅時効)、労働者を保護するため、特別法である労働基準法(改正前労働基準法115条)によって、2年としていました。

 しかし、2020年4月1日に施行された改正民法では、債権の消滅時効期間について、権利を行使することができることを知った日から5年とし(改正後民法166条1項)、それまで定めていた、いわゆる短期消滅時効を廃止しました。つまり、改正民法では、賃金債権も消滅時効の期間が5年となるため、もしも労働基準法を改正しなければ、民法では5年となる消滅時効が労働基準法では2年のままとなり、民法とその特別法である労働基準法との間で、消滅時効期間の逆転現象が生じかねない事態となっていました。

 こうしたことから、労働基準法上の消滅時効をどのように規定するのかが注目されていたのですが、改正民法とのバランスから、労働基準法上の消滅時効も5年とするよう、「労働基準法の一部を改正する法律」により改正がなされました。しかし、経過措置として「当分の間」、3年間の消滅時効期間とするとされました。

                              (弁護士 安田 知央)

ページトップへ