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春告鳥 第11号
岩城弁護士の過労死問題最前線

◆専門職で働きすぎや過労死が深刻な問題となっている医師や教職員の働き方改革のあり方が検討されていますが、医師については一部の医療機関や研修医に年間1860時間もの殺人的な時間外労働を容認したり、教員についても一年単位の変形労働時間制を導入して現状を追認するなど、長時間労働の現状の改善にはほど遠いものとなっています。国の大きな政策の転換を含めた抜本的な取組みが求められています。

 

◆2019年5月29日、ハラスメント防止法(労働政策総合推進法の改正)が成立しました。事業主にパワハラ防止措置を義務づけるにとどまり、パワハラを直接禁止するものではないうえ、パワハラの定義が大変狭いものになっているなど、極めて不十分なものですが、初めてパワハラを防止する法律ができたことの意義は大きく、今後の活用が望まれます。

 

◆10月1日、政府は令和元年版の「過労死等防止対策白書」を閣議決定しました。主要業種では運輸業が平成30年度の過労死を含む脳・心臓疾患の認定件数で最多となり、精神疾患も多かった。また、過重労働が顕著な業種として新たに建設業とメディア業界を分析。建設業の現場監督に自殺が多いことが浮かびました。

 

◆11月1日、厚生労働省は、過労死認定基準(脳・心臓疾患及び精神疾患)を見直す方針を固めたことを発表しました。前者については2020年度に専門検討会を設置して議論を開始し、後者については当面、パワハラ関連部分を修正するほか、2021年度から全体的な見直しに着手するようです。前号でも紹介しましたが、過労死弁護団全国連絡会議は2018年5月に、これらの認定基準改定についての意見書を提出しています。厚労省にはぜひこれを取り入れ、被災者の救済が前進する認定基準に改定してほしいと思います。

                              (弁護士 岩城 穣)

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