阪神タイガース「日本一」に思う(春告鳥第19号 巻頭言)

 あけましておめでとうございます。

 昨年は、未だ終わりの見えないウクライナ戦争に加えて、イスラエルとパレスチナの武装組織ハマスとの凄惨な戦争も始まってしまいました。既に1万7000人以上の市民が亡くなり、そのうち7000人以上が子どもだといわれています(12月5日現在)。国内をみても、統一協会問題に加えてジャニーズの性加害、宝塚歌劇団でのパワハラ自殺、費用がウナギのぼりに増えていくばかりで建設のメドさえ立たない大阪・関西万博、最近では自民党のパーティー券の裏金問題など、悲しい話題、腹立たしい話題ばかりが目立ちます。

 そんな中、阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグで優勝し、さらにパ・リーグ3連覇のオリックスバファローズとの関西対決となった日本シリーズも制して、38年ぶりに日本一になったことは、数少ない明るい話題でした。昨年11月21日の祝賀パレードには、沿道に実に100万人もの市民が集まったとのこと。私もそうですが、阪神タイガースを応援しても、優勝しても、何か直接に自分が得をするわけではありません。なのにこれだけの盛り上がりを見せたのは、私たち市民の暮らしや仕事・営業が大変なうえ、暗いニュースが多い中で、久々にスカッとする出来事だったからでしょう。

 でも、一方では思いました。もし100万人が集まって声をあげたら、日本の政治も社会も劇的に変わるのになあと。実際、お隣の韓国では2017年、100万人の市民がろうそくを持って集まり、朴槿恵(パク・クネ)大統領を罷免に追い込みました。

 ストライキはほとんどなく、デモにも人が集まらない。選挙があっても大半の人たちは投票に行かない。「政治の劣化」と人々の「諦め」が悪循環になっている気がします。

 私も含めて、38年間も諦めずに阪神タイガースを応援してきた粘り強さを、もっと政治や社会にも向けようよ!

 そんなことを思う、年始めです。

(弁護士 岩城 穣)

(春告鳥第19号 2024.1.1発行)

本号では、以下の記事を掲載しています。

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