「改元」に関するあれこれ

 2019(平成31)年4月1日、新しい元号が「令和」と発表されましたね。あとで、官房長官が「あれはウソでした。」と発表することもありませんでしたので、新しい元号が正式に定まったということです。

 さて、この「元号」を定めるにあたっては、「元号法」(昭和54年法律第43号)という法律があるのをご存知でしょうか。たった2項で構成され、本則が31文字(項番号及び句読点除く)からなるこの法律は、次のように定められています。

   昭和五十四年法律第四十三号

   元号法

   1 元号は、政令で定める。

   2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。

 上記のように、元号法には、①元号が「政令」で定められること、②元号は皇位継承があった場合にだけ改定されることだけが定められています。

 では、この「政令」には、今回どのようなことが定められているのでしょうか。

   政令第百四十三号

   元号を改める政令

    内閣は、元号法(昭和五十四年法律第四十三号)第一項の規定に基づき、この政令を制定する。

    元号を令和に改める。

   附則

    この政令は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二十九年法律第六十三号)の施行の日(平成三十一年四月三十日)の翌日から施行する。

 平成31年4月1日に公布されたこの政令は、4月30日の「翌日」である5月1日の午前0時から施行され、同日同時間より新元号「令和」に改められるということになるのです。

 今回調べてみて驚いたのは、日本国憲法の下では、昭和54年に元号法が制定されるまで、元号に関する明文の規定が存在しなかったということです。もともと、戦前の旧皇室典範12条には元号に関する規定が存在したようですが、戦後、現行皇室典範の制定に伴い、理由は不明ですが、元号に関する明文の規定が削除されました。その後、昭和天皇の高齢化を機に、元号に関する議論が活発となり、元号法の制定につながったようです。

(弁護士 井上 将宏)

(メールニュース「春告鳥メール便 No.11」 2019.4.5発行)