安田ママの子育て奮闘記 ~ムカデとともに~

 我が家の周りは緑が多く、多種多様な虫たちがお邪魔してくれます。そのたびにてんやわんやになっています。蚊やクモはもちろん、色々と出ます。都会育ちの私も随分鍛えられましたが、ムカデはなかなか慣れません。まじまじと見ると本当に気味が悪いです。

 ところで、皆さんは『リメンバー・ミー』というピクサーが製作したアニメーション映画をご存知でしょうか。主人公の少年が死者の国に迷い込んでしまい、曾祖母などの先祖と触れ合う物語なのですが、死者の国から生者の世界に戻るためには、マリーゴールドの花びらと共に先祖から「ゆるし」を与えてもらう必要があります。死者を蘇らせる儀式ということです。

 さて我が家のお話に戻ります。先日入浴中に、全長十数センチはあろう立派なムカデが現れました。娘が気づいて、一緒に叫びながらシャワーで攻撃。でも元気。塩素系洗剤をシュシュッと5吹き。まだ元気。ムカデには熱湯が一番ということで、外にいた主人に熱湯を準備してもらい、なんとか撃退しました。

 すると、娘がお風呂場から出てごそごそしていたかと思うと、飾ってあるガーベラの花びらを一枚ちぎって戻ってきました。そして、きれいに茹で上がったムカデさんの傍にお花をぽいっと投げて一言「ゆるしをあたえる!」。

 一瞬後に大爆笑。きっと娘は、ムカデとともに生きることを決意してくれたのでしょう。優しい心の持ち主です。

弁護士 安田 知央

(春告鳥第12号 2020.8.3発行)