先日大学の友人の結婚式に出席するため娘の紗知を連れて日帰りで東京に行ってきました。往きは実母が付き添ってくれたのですが、復路は娘と二人で新幹線の約2時間半を過ごしました。 指定席は車両の進行方向いちばん後の列の席をとりました。座席と後ろの壁との間のスペースを、ベビーカー置き場として利用するためです。 結婚式を終え、東京駅にて新幹線に乗り込み、ベビーカーをたたんでそのスペースの奥に置き、娘を抱っこ紐で抱っこしたまま座席をリクライニングすると間も無く二人は夢の中へ。
「まもなく、名古屋です。」のアナウンスで私が起きると娘も泣いて目覚めました。娘をあやすため連結部に移動しようと席を立つと…どうやら私の隣を含め近くの3〜4列、座っているのはインド人(と思しき方々)ばかり。座席と壁の間のスペースに目をやると、インド人の団体のものと思われる巨大なトランクケースが手前に3つ並べられており、その奥にベビーカーが押しやられているではありませんか。 娘を抱っこしたままの私が一人で、この背丈が1メートル以上ありそうなトランクを移動させて、それがコロコロ転がらないよう支えながら奥からベビーカーを取り出すことは無理です。 このトランクの持ち主に協力願うにも、このトランクがどのインド人の持ち物かわかりません。気づいて手伝ってくれる方がいないものか周囲を見渡しても、皆さん面白いくらいにぐっすり寝てらっしゃいました。
目的地である京都駅への到着時間は刻々と迫り、残り15分の間にベビーカーを何とか取り出さないといけません。とにかくグズる娘をなだめるため、車両連結部分でしばらく娘をあやしていると、若い乗務員さんが通りかかりました。藁にもすがる思いで乗務員さんにご協力をお願いし、二人でトランクの移動開始。その間娘も泣くことなく、またインド人も我々に気づく事なく引き続きぐっすり眠っていました。
何とか奥からベビーカーを引っ張り出すことができたときには京都到着5分前。乗務員さんにお礼を言ったあと、急いで身支度を整えて降り立った京都駅のホームにて、私はいつも手伝ってくれる夫やお義母さん、実母など支えてくれる家族のありがたみを身に染みて感じたのでした。
(弁護士 安田 知央)
(春告鳥第7号 2018.1.1)