令和元年12月1日から、道路交通法が改正され、携帯電話を使用しながら運転をした場合の罰則や違反点数が、改正前に比べて厳しく処分されることになりました。
具体的には、携帯電話を使用して交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金と違反点数6点となり、即座に免停となります。また、交通の危険を生じさせていない場合でも、携帯電話を使用しながら運転をすれば、普通車で反則金1万8000円、違反点数3点の処分が課されることになり(反則金を支払わない場合は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金が課されることもあります。)、改正前に比べて約3倍に引き上げられたことになります。
この改正は、運転中に携帯電話の画面を注視していたことで起因する交通事故が増加しており、社会的な問題となっていることから、そのような事故を未然に防止するべく厳罰化されたものです。運転中に携帯電話を使用すれば、注意力も散漫になり、周囲の危険を発見できずに重大な事故も発生しかねません。今後も同じような事故が減少しない場合は、さらなる厳罰化もありえるでしょう。
そのほかに改正された点としては、運転経歴証明書制度がより便利なものとなりました。これまでは、高齢等を理由として運転免許証を自主返納した場合(自主返納後、5年以内に限ります。)のみ、運転免許証の代わりに運転経歴証明書を受けとることができましたが、免許証の更新を受けずに失効してしまった場合は、運転経歴証明書を受け取ることができませんでした。そこで、今回の改正では、免許証の失効から5年以内であれば、運転経歴証明書を受け取ることができるようになり、申請手続もより簡便になりました。運転免許証を失効したけど、身分証明書がなくて不便だなという方は、申請をされてみてはいかがでしょうか。
(弁護士 稗田 隆史)
(春告鳥第11号 2020.1.1発行)