現場の声を大切に(春告鳥第22号 巻頭言)

 皆様は「スキマバイト(スポットワーク)」という言葉をご存じでしょうか。企業が求める短時間・単発の仕事を、スキマ時間を活用したい労働者とマッチングさせる、新しい働き方・働かせ方です。スマホアプリから気軽に申し込みができることから、驚異的な勢いで普及しています。一方で、職業安定法・労働者派遣法の潜脱にならないか、複数バイトを行う場合の通算労働時間の問題、労災・通勤災害に補償はされるのか、など問題点も多く指摘されています。

 私は、スキマバイト利用者から実際に話を伺う機会(働き方ASU―NET第32回つどい)があり、実態として労働者が弱い立場に置かれている状況を知りました。一方で、日本労働組合総連合会の調査結果(「スポットワークに関する調査2025」)によれば、バイト先でのトラブルについて「我慢する」ことや「相談先がわからない」といった声も多く、トラブルが顕在化しにくいところも問題のひとつといえます。そのため、生の声を聞き続けていくことの重要性を改めて実感しました。現場の声を大切に、今後も労働者の権利擁護に尽力して参ります。

 

弁護士 村西 優画(事務所ニュース「春告鳥」22号巻頭言 2025年8月3日発行)