「過労死防止法」いよいよ制定への最終ステージへ!──(その1)5・22院内集会

2014年5月25日

 2011年11月の「実行委員会」結成から2年半、その出発点となった2010年10月の最初の院内集会から数えると3年半にわたって取り組んできた、過労死防止基本法制定の取り組みが、ついに最終段階に入った。

 慎重に議論を重ねてきた自民党の内部手続きが終了したことにより、全政党の足並みが揃い、いよいよ衆・参の厚労委と本会議という正規の立法手続きに入っていくことになったのである。

 昨年10月の臨時国会から、「一日も早く」ということで全力で進めて来たが、やはり思うようにはいかず、通常国会も6月20日の会期末まで1か月を切っていることから、「時間とのたたかい」となっている。

◆盛り上がった「前夜祭」──第10回院内集会
 このような微妙な状況を見込んで、最終盤の弾みをつけるため、5月22日、「「過労死防止法」の今国会成立を実現する緊急のつどい」(第10回院内集会)を衆議院第一議員会館で行った。
 前回2月4日の院内集会では、初めて超党派議員連盟の「後援」の形であったが、今回はついに議員連盟との「共催」の形が実現した。
 準備期間が短かったこともあり心配したが、232人の参加者で、会場は立ち見が出る盛況となった。

 森岡孝二実行委員長の開会あいさつに続いて、議連代表世話人の馳 浩衆院議員(自民党)から経過報告と法案のポイントの説明がなされた。続いて議連事務局長の泉健太衆院議員(民主党)を筆頭に、議連の各党世話人と参加国会議員から次々とご挨拶をいただいた。

 また、遺族の訴えは、この立法運動のきっかけを作った3人の遺族(大阪のTさん、岡山のMさん、兵庫のNさん)が、当時と今の思いを切々と話された。

 さらに、まだ法律ができていない段階なので異例とのことであるが、厚生労働省労働基準局労働条件政策課長から、成立後施行までと、施行後の課題についてお話をいただいた。このような院内集会で厚労省の担当者からお話をいただけること自体、ある意味で夢のようである。

 また、同じように議員立法で制定された「自殺対策基本法」の制定後の取組みについて、NPO法人ライフリンクの清水康之さんからお話をいただいた。

 過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博弁護士は、26年前の過労死110番の開始当時からの弁護団と過労死遺族の長年の粘り強い取組みを振り返り、この法律の意義を強調した。そして、最後に、前日に出されたある判決後に、若い弁護士が「司法は生きていた」との横断幕を掲げていたが、司法だけでなく、今回の法律制定の取組みでは「国会も生きていた」との実感を持つようになったと話されたのが、印象的であった。

 これまで10回にわたって開いてきた院内集会も、このまま順調に進めば、これが最後になる予定である。
 まるで卒業式を迎えるような、ちょっと寂しい気持ちと、法律制定後のステージに胸を張って進めるという誇らしい気持ちが混じり合うなか、これまでの取組みを振り返り、到達点をお互いに確認し合うとともに、成立後の決意を固め合う、「前夜祭」にふさわしい「つどい」であった。

 ※写真は上から、
 ①森岡実行委員長あいさつ
 ②馳 浩 議連代表世話人の経過報告
 ③会場風景
 ④ライフリンクの清水康之さん
 ⑤川人弁護士
 ⑥寺西笑子さんの閉会あいさつ


弁護士 岩城 穣(「いわき弁護士のはばかり日記」No.186 2014年5月25日)