みなさま、厳しい暑さもようやく和らぎ、少しずつ秋めいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私は、去る9月29日、30日に、過労死弁護団全国連絡会議第36回総会に参加しました。総会では、脳・心臓疾患の労災認定基準の改定がなされて以降の労災認定件数・認定率の推移状況、精神障害の労災認定基準の改定の要点の説明や各論点についての前進の内容、全国各地の過労死・労災の重要事例の報告がありました。また、労働時間が過小に認定される近年の傾向について特に議論が交わされました。
総会で印象深かったのは、代表幹事が挨拶の中で、過労死弁護団結成当初は、認定基準もなく、報告すべき勝利事例もほとんどなく、当時の代表幹事の話を傾聴するのが常であったのが、現在ではそれぞれに課題を持ちつつも、勝利した事例があり、社会的な役割を担う弁護団に成長してきたと仰られたことです。
認定基準は、これまで遺族や弁護団がたたかって、一歩ずつ勝ち取ってきた成果そのものです。現在も、労働時間を厳格に判断する動きなど新たな問題が生じていますが、被災者や遺族が適切に補償を受けられるよう、乗り越えなければなりませんし、そのことがひいては働き過ぎで命を落とすことのない社会を実現することにつながるはずです。
総会に参加して、一層努力しなければならないとの思いを新たにしました。
(弁護士 松村 隆志)
(メールニュース「春告鳥メール便 No.62」 2023.10.3発行)