岩城弁護士の過労死問題最前線(2017年12月~2018年6月)

◆2014年に過労死防止法が制定されてから4年が経ち、同法に定められた見直し時期を迎えています。また、2015年に策定された過労死防止対策大綱についても、3年後の見直し作業が行われています。私が事務局長を務める過労死防止全国センターは今年1月、これらについての意見書を厚労省に提出しました。


◆また、厚労省に設置された過労死等防止対策推進協議会に委員として参加し、過労死防止大綱の改定作業に関与しています。今年4月と5月に開催された協議会では、高齢者・障害者の過労死防止対策の必要性や、パワハラという言葉に代えて、より広いハラスメントという言葉を使うようにすべきだという意見を述べ、大綱の記述に反映されました。


◆現在、全国の労基署で使用している過労死の労災認定基準は17年前の2001年に、また過労自殺(精神障害)の認定基準も7年前の2011年に制定されたものであるうえ、様々な不十分点が指摘されています。そこで、全国過労死弁護団では昨年秋からプロジェクトチームを立ち上げて、両認定基準についての改定意見書を取りまとめ、本年5月、厚労省の認定対策室に提出しました。私も過労死認定基準の改正チームに所属して意見書の作成に関与しました。早期の認定基準の改正が望まれます。


◆昨年11月と今年4月の2回にわたって、大阪府社労士会の自主研究会で過労死問題について講演をしました。私自身にとっても勉強になり、また多くの社労士の皆さんとつながりができ、嬉しく思っています。

◆今年8月、昨年に引き続いて過労死遺児の交流会が今琵琶湖で開かれ、昨年以上に多くの過労死遺児とご家族が参加予定です。私も準備委員の一人として参加してきます。

(弁護士 岩城 穣)

(春告鳥第8号 2018.8.8)