法律相談Q&A(育児介護休業法の改正)

Q
育児介護休業法が改正されたと聞きましたが、どのような点が変わったのでしょうか。
A

令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日から段階的に施行されています。主な改正点についてご説明します。

1 「産後パパ育休」の創設

令和4年10月1日から、「産後パパ育休」が始まりました。これは、男性に対し、従前の育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に4週間までの育休取得を可能とする制度です。制度利用中は、従前の育児休業中と同様に、育児休業給付金として給与の67%が支給されます。

このような制度が創設されたのは、男性の育児休業取得率が低い水準にとどまる中、柔軟で利用しやすい制度を設けることにより育児休業の利用を促進することにあります。現状、女性の約5割が、仕事と育児の両立の難しさから、出産・育児を機に退職しており、その解決には、夫婦の家事・育児における協力が不可欠です。しかし、男性は、業務の都合や職場の雰囲気から育児休業を取得できない状況にあり、育休取得を促す目的で今回の法改正がなされました。

2 有期雇用労働者の育児・介護休業・取得要件の緩和

改正前は、有期雇用労働者が育児介護休業を取得するには、①引き続き雇用された期間が1年以上で、②1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでないという要件を満たす必要がありましたが、令和4年4月1日からは、①の要件が撤廃され、②の要件のみになりました。ただし、労使協定で、雇用期間が1年に満たないもの、申出の日から8週間以内に雇用契約が終了するもの、1週間の労働日数が2日以内のものを制度の対象外にしている場合があるので、注意が必要です。

3 雇用環境整備・個別の周知の義務化

令和4年4月1日から(産後パパ育休については10月1日から)、事業主には、育児休業・産後パパ育休を取得しやすい環境整備(研修の実施や相談窓口の設置等)や、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対する育児休業性等に関する個別の周知が義務付けられています。

4 さいごに

事業主が、育児介護休業等の申出・取得を理由に、解雇や退職強要、正社員からパートへの契約変更等の不利益な取扱いを行うことは禁止されているほか、「男のくせに育児休業を取るなんてありえない。」等のハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられています。男性も積極的に育休取得を検討されてはいかがでしょうか。 育休取得に関しご不明・ご不安な点がある場合には、当事務所までお気軽にご相談ください。

(弁護士 松村 隆志)

(春告鳥第17号 2023.1.1発行)