雇用契約書・労働条件通知書の重要性

 まもなく新年度をむかえるにあたって、4月から就職される方もいらっしゃると思います。就職する際には、「雇用契約書」や「労働条件通知書」を受け取ることと思いますが、今回はその重要性についてご説明したいと思います。
 まず、法律では、賃金、労働時間その他の労働条件について明示しなければならないとされており、特に、①契約期間に関すること、②期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること、③就業場所・従事する業務に関すること、④始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること、⑤賃金の決定方法、支払時期などに関すること、⑥退職に関すること(解雇の事由を含む)、の6点については、書面で明示する必要があるとされています。書面を交付しないことには罰則があります。
 就職するときに個別に取り決められたことと、就業規則の定めに違いがあるときには、合意の内容が、就業規則で定められた基準を下回らない限り、個別の合意が優先されます。
 たとえば、就業規則では「会社は、業務上の必要がある場合は、従業員に配置転換、転勤、職務内容の変更を命じることがある。」などとされていても、会社との間で、就業場所を本社に限定するとか、従事する業務を経理に限定するといった合意がされているのであれば、個別の合意を超えて配置転換や業務内容の変更を命じようとしても、労働者の同意がない限りできないことになります。
 個別の合意自体は口頭でも可能ですが、後に言った言わないトラブルになることもあります。合意内容を明確化しておくうえで、雇用契約書や労働条件通知書は非常に重要です。雇用契約書や労働条件通知書を受け取ったときには、会社と取り決めた合意内容がきちんと盛り込まれているかしっかりと確認して、もし相違点があれば、合意内容を反映するように求めるべきです。そして、労働条件通知書などは、労働契約の内容を示す非常に重要な資料なので、お手元で大切に保管しておくようにしてください。

弁護士 松村 隆志
(いわき総合法律事務所メールニュース「春告鳥メール便」(2026年3月26日発行)