2025年3月28日
先月15日、権利討論集会が開催されました。私は事務局として参加しました。
午前中の全体会では、「外交で平和をつくるとはどういうことか」と題して、新外交イニシアティブ(ND)代表の猿田佐世弁護士にご講演していただきました。1時間という限られた時間の中で、国際情勢について平易な言葉で解説していただきました。あっという間の1時間でした。
午後からは分科会に参加しました。私は第3分科会を担当しました。第3分科会では、「命と健康を守る」をメインテーマ、「デロゲーションなどによる労働時間規制の骨抜きにどう対抗するのか」「労働現場におけるカスハラ対策-カスタマーハラスメント研究の第一人者、池内裕美関西大学教授によるご講演」をサブテーマとして、法曹関係者や労働組合員、過労死事件の当事者のご遺族やマスコミ記者など様々な方々にご参加いただきました。
労基法改正の議論をめぐる問題点を解説していただいたり、カスハラの実態やその対策等について様々報告していただきました。私も、報告者として発表させていただきました。報告の中でとくに印象に残ったのは、吹田市職員労働組合書記長川渕さんからの、住民からの不当な要求に対する取組みについて報告でした。民間企業に対するクレームと自治体などの行政機関に寄せられる住民の声とは性質が異なる点に、自治体における不当要求行為への対策の難しさがあると川渕さんはおっしゃっていました。その理由として、民間事業者と顧客との関係では取引を行う相手を選択できるものの、自治体と住民との関係では、住民側による選択が困難という点が挙げられていました。川渕さんは、不当要求行為への対策によって住民の正当な権利行使が妨げられることはあってはならないため、市民の権利行使を保障しつつ、市職員の就労環境の整備が行われていく必要があるとおっしゃっていました。
講演後の質疑応答・討論においては、参加者から様々な議論や事例報告等がなされました。労働関係法規のデロゲーション及びカスハラの問題に関して、現在特に問題となっている点について進んだ議論がかわされ、大変意義深い分科会になったものと思います。
弁護士 村西 優画
(いわき総合法律事務所メールニュース「春告鳥メール便」2025年3月28日発行)