1995年1月25日
悪法ばかり作られることが多い今日この頃ですが、たくさんの汚職腐敗、アメリカの圧力もあって、昨年10月1日、大変画期的な法律が施行されました。その名は「行政手続法」。名前は地味ですが、「行政運営における公正の確保と透明性の向上(1条)を目的として、様々な許可やその停止・取消などの行政庁が行なう処分、届出及び行政指導についてその事前手続きを定めたいわば「行政手続の憲法」のような法律です。
これまで、例えば許可や不利益処分について、その基準がはっきりしていなかったり、なかなか受理してもらえなかったり、受理されても長い間放置されたりすることがしばしばあり、また行政指導の名のもとに、行政の地位を利用して不当な圧力をかけたりりすることが見受けられました。
今回の行政手続法では、例えば許可については、①審査基準の制定とその公表(5条)、②標準処理期間の設定努力義務(6条)、③申請の不受理・返戻の禁止(7条)、④不許可の場合の理由提示義務(8条)、⑤申請者の情報提供請求権(9条)などが定められました。
また、行政指導についても、①行政指導の任意性と従わない者に対する不利益扱いの禁止(32条)、②行政の地位を利用しての指導の禁止(34条)、③行政指導内容、責任者についての書面交付請求権(35条)などが定められています。
ただ、この法律には、分野によって多くの適用除外が定められており(3条1項)、また地方自治体が条例に基づいて行う処分には適用がない(3条2項)という欠点もありますが、後者については、地方自治体に「行政手続条例」のような条例を制定する責務を負わせていますので、そのような条例制定を自治体に要求していくことが必要です。
弁護士 岩城 穣(「天王寺法律事務所ニュース」第50号 1995年1月25日発行)