1「紅麹サプリ被害」とは
2024年3月22日、小林製薬株式会社は、同社が製造販売した紅麹成分を含むサプリメント「紅麹コレステヘルプ」等を摂取した消費者に腎疾患などの重篤な健康被害が生じたため、国と保健所に報告するとともに公表し自主回収を始めました。同年3月27日には大阪市が同社に対して回収を命じる行政処分を出しました。その後の調査により、同サプリメントの一部のロットに、腎毒性を有する青カビ由来のプべルル酸が混入していたことが判明しました。
2 弁護士会の動き
大阪弁護士会では、欠陥商品による消費者被害の調査・研究・制度提言の担当である消費者保護委員会第4部会がこの件の調査、研究に当たることになりました。被害実態の調査として、電話相談「紅麹サプリ被害110番」を2024年4月26日、27日に実施しました。約80件もの電話があり小林製薬の対応に関する苦情が多数寄せられました。
同年9月21日に被害者説明会を開き、PL法による救済の可能性、そのための法的要件、予想される争点等について説明がなされました。被害者からは、慢性腎不全等の被害が重大にあるにもかかわらず小林製薬が誠意ある対応をしないとして弁護団の結成を希望する声が聞かれました。
3 弁護団の結成とその後の活動
同年10月9日、このような状況を受け、私を含む部会員を中心として17名の弁護士が、任意の団体である弁護団を結成しました。弁護団のホームページを作成し、被害者に定型のフォームに必要事項を入力していただいて、弁護団にアクセスできるようにしています。
現在、被害者からの受任手続を進めているところで、近く被害者らの代理人として小林製薬に通知書を送付することを予定しています(2024年11月22日本稿執筆時点)。 私が受任手続を担当した被害者は労災基準に当てはめると後遺障害9級相当の慢性腎機能障害になっており食事制限も課されるなど重大な被害が発生しているので、精一杯被害救済に尽力したいと考えています。
弁護士 田中 厚
(春告鳥21号 2025.1.1発行)