2025年1月1日
昨年は、衆議院選挙(10月)や、東京都(7月)、兵庫県、名古屋市(いずれも11月)など注目される首長選挙が行われました。選挙は国民の最大の主権行使の場ですが、今の日本の選挙制度には余りにも問題が多すぎるのではないでしょうか。
⑴小選挙区制の弊害
政党が「一強多弱」の日本では、自民党が圧倒的に有利で、膨大な死票が出るため投票率は低く、諦めや政治不信が広がっています。
⑵問題だらけの公職選挙法
ア.公職選挙法制定時(1950年)、衆・参両院、都道府県の知事・議員の選挙運動期間はすべて30日間でしたが、どんどん短縮され現在ではそれぞれ12日、17日、17日、9日にまで短縮されています。
イ.ほとんどの先進国では自由にできる選挙活動が、日本では厳しく制約されています。
ウ.例えば衆議院小選挙区への立候補は300万円もの供託金が必要で、一定割合の得票がなければ没収されます。
ア~ウによって現職が圧倒的に有利となり、また親の地盤を受け継ぐ「世襲議員」が構造的に生まれています。
⑶企業・団体献金と政党助成金の二重どり
主権者でないのに、大きな経済力を持つ企業や団体が政治献金をすることで、政治が大きくゆがめられています。更に、国民の税金から莫大な政党交付金が支払われ、政治が金まみれになっています。
⑷「X」「ユーチューブ」「インスタグラム」などSNSで情報を得る人が増える中、短期間で「熱狂」づくりに成功した候補者が当選することが多くなっています。SNSの進歩は歓迎すべきですが、選挙の争点について国民が冷静かつ建設的な意見交換ができるようにすることが求められます。
⑸その他、掲示板が「売買」されひわいなポスターが多数掲示されたり、他の候補を応援するために立候補する(ポスターや選挙カーの数が2倍になる)などの問題事例も出てきています。
選挙制度は国によって大きく異なっており、現在の日本の選挙制度は決して世界のスタンダードではありません。主権者として共に考えていきませんか。
弁護士 岩城 穣(事務所ニュース「春告鳥」21号巻頭言 2025年1月1日発行)