2013年12月30日
12月19日、表題の意見書が、和歌山県と和歌山市の両議会で同時に採択された。
6月に国会内に「過労死防止基本法の制定を求める超党派議員連盟」が結成され、12月4日には「過労死等防止基本法案」が国会に提出され、継続審議となっていることから、各地で過労死遺族や過労死問題に取り組む弁護士、支援団体や地方議員の皆さんが、地元の自治体に働きかけている。
和歌山では、ご主人の過労死について、私も弁護団に加わり和歌山地裁で裁判中の小池江利さんが、11月7日に和歌山県・和歌山市と、ご自宅のある有田川町の議会に、弁護団の林裕悟弁護士と一緒に申し入れを行っていたところ、12月10日に有田川町議会、そして12月19日に和歌山県議会と和歌山市議会で採択されたのである。
和歌山県は私の出身地でもあるので、とても嬉しい。
私たち「ストップ!過労死 過労死防止基本法制定実行委員会」が把握している、意見書を採択した自治体は、12月26日までに75自治体にのぼっている(実行委員会のホームページには現在、69番目の兵庫県芦屋市議会までが紹介されているが、その後、愛知県豊川市(12/20)、兵庫県三田市(12/24)、京都府の福知山市(12/25)・八幡市(12/25)・京田辺市(12/26)・舞鶴市(12/26)で採択されている)。
これ以外にもご存じの方は、ぜひ教えてほしい。また、皆様の地元の自治体に、ぜひ意見書採択を働きかけてほしい。
ご連絡をいただけば、具体的なノウハウをお教えしますので、よろしくお願いします。
以下は、①和歌山県議会の意見書採択を報じる産経新聞の記事と、②11月7日に小池さんが申し入れを行ったことを紹介してくれた読売新聞の記事である。
①◆「過労死防止法」求め意見書 県議会 30議案可決・認定し閉会 和歌山(産経新聞 2013.12.20)
12月県議会は19日に閉会し、総額約1億6800万円の平成25年度一般会計補正予算案や議員提出された県中小企業振興条例案など計30議案を可決・認定した。また「過労死防止基本法」の制定を国に求める意見書も採択された。
(中略)
過労死・過労自殺の防止に向けた基本計画の策定などを国に義務付ける過労死防止基本法制定を求める意見書採択は、「全国過労死を考える家族の会」によると都道府県議会では兵庫、島根、宮崎に続き4例目。同日、和歌山市議会でも同様の意見書が採択された。
同会代表の寺西笑子さんは「議会で採択されたことは大きい。過労死は身近なところにあると認識していただき、国には働く人の意識を変える取り組みをしてもらいたい」と話した。
②◆「過労死の悲しみ、もう二度と」法整備訴え署名活動
(2013年11月8日 読売新聞)
家族を過労死で亡くした遺族らが7日、「過労死防止基本法」の制定を国に求める意見書を和歌山・有田川町議会の議長らに手渡した。
議会での採択を求めており、広川町の介護老人福祉施設で働いていた夫(当時49歳)を亡くした主婦小池江利さん(51)(有田川町)は「夫の死を無駄にしたくない」と活動に励んでいる。
2003年から事務職として働いていた小池さんの夫は、10年10月、残業中に脳動脈瘤(りゅう)破裂が原因のくも膜下出血で倒れ、8日後に亡くなった。11年6月に御坊労働基準監督署から労災認定を受けた。
就職してから本来の業務である経理に加え、ヘルパーの資格を生かした業務や宿直もこなし、休日に出勤することも少なくなかった。小池さんが「きちんと休んで」と訴えても時間が取れないようで、ほぼ毎日4、5時間は残業していたという。「まじめで責任感が強い人でした」と振り返る。
小池さんは、そうした夫の仕事ぶりに疑問を抱き、「過労死110番」に相談。弁護士の紹介で入会した「大阪過労死を考える家族の会」(大阪市)で、同じ境遇の遺族らと出会った。
「過労死と認められても大切な人が戻らない現実に、『無理にでも仕事を辞めてもらっていれば』と遺族は自分を責める。こんな思いをもう誰にもしてほしくない」と、同法制定に向けた署名活動などに参加するようになった。
遺族や弁護士らでつくる同法制定実行委員会は、国や企業に過労死を防止する責任があることなどを明記した過労死防止基本法の制定を求める活動を11年にスタート。今年6月には同法制定を目指す超党派の国会議員連盟が結成され、開会中の臨時国会への法案提出を目指している。
議会への意見書採択の呼びかけは昨年6月から全国で行っており、2県議会と36市区町村議会で採択されている(10月末現在)。
この日は、県議会と和歌山市議会の事務局にも意見書を提出。小池さんは「個人や企業だけで対応するには限界がある。法の制定に尽力することが私の使命と思って、頑張りたい」と意気込んでいる。
同行した林裕悟弁護士は、「不況が続き、リストラで社員の数が減るなどして過酷な労働を強いられている人は少なくない。誰の身に起きてもおかしくない問題で、少しでも防止につながるよう、法の制定を実現させたい」と話していた。(落合宏美)