16年前の被災地・神戸で、東日本大震災と住宅の安全性について議論~欠陥住宅全国ネット・神戸大会~

2011年5月30日

 欠陥住宅全国ネット(欠陥住宅被害全国連絡協議会)の第30回大会が、5月28・29の両日、神戸市内で開かれ、全国各地から102名が参加した。

 欠陥住宅全国ネットは、阪神大震災の翌年である1996年12月、欠陥住宅被害の救済と予防をめざす弁護士・建築士・研究者・市民のネットワークとして、被災地神戸で結成された団体である。
 その後年に2回程度、全国各地で大会を開き、欠陥住宅についての最先端の取組みと交流を行うとともに、地域組織の結成や強化を図ってきた。今年4月1日現在で会員は弁護士約630名、建築士280名を含めて約1060名に達し、地域的にも、北海道から沖縄まで全国をカバーしている。

 私は結成当時から関わり、特に1999年5月の第7回大会(広島)から、2007年11月の第23回大会(岐阜)までの8年半、事務局長を務めさせていただいたので、大変思い入れのある団体である。

 今回の大会は、阪神大震災の被災地であり全国ネット発祥の地である神戸で開かれたこと、第30回という節目の大会であったこと、奇しくも3月11日に発生した東日本大震災後の最初の大会であったことから、大変印象深いものとなった。

 内容を詳しく紹介することはできないが、仙台の吉岡和弘幹事長(東北ネット)から「東日本大震災の報告と被災地からの要望」、神戸NETの永井光弘・津久井進両弁護士から、16年前の被災地神戸からの「欠陥住宅を作らないためのアドバイス」が報告されたのは、とても貴重であった。

 その他、①外壁タイルをめぐる問題、②各地の裁判や判決の検討、③日弁連の土地住宅部会の活動紹介、④各地の地域ネットの活動報告、⑤この7月2日(土)に全国で行われる「欠陥住宅110番」の取組みの説明など、充実した報告と討論が行われた。

 次回大会は、11月26(土)~27(日)に、東日本大震災の被災地である仙台で行われることになった。参加者による被災地の視察や、復興における住宅の安全性についての議論も行われると思われる。

 この大会は、欠陥住宅問題に関心のある弁護士・建築士はもちろん、欠陥住宅の被害者など一般の方でも参加できる。関心のある方は、ぜひ参加していただいてはどうかと思う。

Photo_6 大会終了後の27日午後は、関西ネットの仲間たちと一緒に、神戸南京町(中華街)にある老舗【民生廣東料理店】で昼食をいただいた。
 大会の来賓あいさつで兵庫県弁護士会の笹野哲郎会長が紹介してくれた、看板料理「いかの天ぷら」(写真の左上)をはじめ、期待どおりで、大変美味しかった。

 また半年間、それぞれの地域で頑張ろう──参加者は、そんな元気と、あたたかい気持ちをもらって帰途についたのではないだろうか。
 そんなネットワークがあり、たくさんの仲間がいることを、うれしく思う。

(弁護士 岩城 穣・2011年5月30日「いわき弁護士のはばかり日記」No.26より)