厚生労働省主催の「過労死防止シンポジウム」、盛大に開かれる

弁護士 岩城 穣

 11月1日から施行された過労死等防止対策推進法(過労死防止法)の施行を記念して、厚生労働省主催のシンポジウムが、11月14日(金)午後1時30分~3時30分、厚生労働省の講堂で開かれた。
 会場の400席は満席。過労死家族の会や過労死弁護団の関係者の席は100名で、それ以外の300名は事前に申し込んだ一般の参加者である。
 塩崎恭久厚生労働大臣は主催者あいさつで、過労死防止法の意義と成立までの経過を語られた。
 超党派議員連盟の馳浩代表世話人は来賓あいさつで、他の議連世話人らの出席者を紹介するとともに、この法律制定にかけた思いとこれからの決意を語られた。
 川人博弁護士の基調講演は、明治時代の女工哀史の時代まで遡って日本の過労死問題の異常さを明らかにする、大変格調の高いものであった。

 続いて過労死・過労自殺の8人の遺族の方々が、自らの体験談を語られた。
 発言されたのは、①京都の寺西笑子さん(夫49歳)、②大阪の安井敏一さん(息子35歳)、③愛知の内野博子さん(夫30歳)、④東京の古川美恵子さん(息子24歳)、⑤兵庫の西垣迪世さん(息子27歳)、⑥静岡の尾崎正典さん(姉)、⑦東京の中野淑子さん(夫52歳)、⑧東京の中原のり子さん(夫44歳)。
 どの方の発言も、一生懸命仕事に打ち込んで働いた人が過労死・過労自殺する理不尽さを告発し、過労死の防止を訴えるもので、参加者は涙をこらえながら聞き入った。

 このシンポジウムの内容は、厚労省のホームページで「議事概要」として公開されている(http://www.
mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068588.html
)。今後も、多くの政治家や役人、研究者や専門家、経済界や労働組合の人たちを含め、多くの人々が視聴することになるであろう。そのことにも、この法律ができた重みを感じる。

<新ストップ!過労死 全国ニュース創刊号(2015年2月18日発行>