ついに「過労死防止法」が成立!─11月1日施行、最初の「啓発月間」実施の見込み─

実行委員会事務局長 岩城 穣(弁護士)

 実質的な通常国会の最終日である6月20日(金)午後8時過ぎ、参議院本会議で私たち実行委員会の傍聴者約30人が見守る中、「過労死防止法案(過労死等防止対策推進法案)」が賛成239、反対ゼロの満場一致で可決され、ついに歴史的な「過労死防止法」が成立しました。

 2 昨年6月18日に超党派議員連盟が結成されたことを受け、実行委員会は10月15日から始まった臨時国会での成立をめざして本格的な活動を開始しました。10月17日には「過労死防止基本法の今国会での制定を願う緊急集会」を130人で成功させ、10月28日からは寺西・西垣・中原の3人の家族の会メンバー(後に、3人まとめて「寺西垣のり子」と呼ばれるようになりました。)が思い切って常駐することにしました。11月19日には、小室淑恵さんをお呼びして第8回院内集会を234名の参加で成功させました。
 ところが、自民党の雇用問題調査会過労死等防止に関するワーキングチーム(WT)が始まったのは11月29日であり、12月6日の会期末には間に合わないということで、12月4日、野党6党が先行する形で「過労死等防止基本法案」を衆議院に上程して継続審議の扱いとし、その間に自民党の党内手続きを進めてもらい、通常国会で改めて超党派で法案を練り上げようということになりました。

 3 年明け1月24日からの通常国会に先立って、1月22日から家族会メンバーは再び常駐を開始し、2月4日には、大和総研主任研究員の河口真理子さんをお呼びして、参加者206名で第9回院内集会を成功させました。
 自民党内では、11月29日以降WTの会合が粘り強く重ねられ、2月20日の第4回会合でWT事務局第1次案が出され、最終的に4月1日の第7回会合で「最終素案」が配布。その後、この「最終素案」が条文化され、5月20日の超党派議連総会で、これを超党派議連案とすることで各党で最終調整を行うことが確認されました。

 4 そして、5月22日に、最後の院内集会にしたいという思いで「「過労死防止法」の今国会成立を実現する緊急のつどい」(第10回院内集会)を参加者236人で成功させ、2日後の5月24日、衆議院厚生労働委員会で、過労死家族の会代表の寺西さんが参考人として意見陳述を行いました。その感動もさめやらぬ中、法案は「委員長提案」で満場一致で採択されました。続いて5月27日の衆議院本会議で可決、参議院に送付されました。

 5 そして、舞台は参議院に移り、常駐メンバーを中心に、参議院での鍵を握る議員の方々への働きかけを強めました。そして、6月19日の参議院厚生労働委員会でも、再び寺西さんが参考人として意見陳述を行ったうえで満場一致で採択され、翌6月20日、冒頭の参議院本会議での可決となったのです。

 6 成立した過労死防止法は、6か月以内に施行されることとなっていますが、毎年11月の「過労死防止月間」を今年から始めるために、11月1日を施行日とする方向で現在調整が進められているようです。

 7 私たち実行委員会が目的としていた「過労死防止基本法」は、「過労死等防止対策推進法」(通称「過労死防止法」)として実現しました。
 しかし、これは終わりではなく、これからが始まりです。過労死をなくしていく「仕組み」ができただけで、私たちは、国や自治体、関係機関と一緒になって、仕組みを前に進めていかなければなりません。
 この実行委員会を今後どのようにしていくか、「協議会」の設置や「大綱」の作成にどのように関与していくか、最初の「啓発月間」をどう迎えるかなど、課題は山積しています。引き続き、知恵を出し合い、力を合わせていきましょう。

<ストップ!過労死 全国ニュース号外(2014年7月3日発行)掲載>