2012年6月6日(水)に衆議院第一議員会館にて、「過労死防止基本法の制定を願う集い」を開催しました。第4回目となる今回の院内集会は、300人収容の会場をほぼ埋め尽くすたくさんの参加者の方にお集まりいただき、間違いなく過去最大規模のものになりました。ここでは、その様子を報告したいと思います。
まず、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博弁護士から、「メディアなど社会的にも取り組みへの注目が集まってきた。本日の集会を通じて、過労死防止基本的制定へ向け一層前進していきたい。」という言葉とともに集会がスタートしました。
また、実行委員会事務局長の岩城穣弁護士から、「集会当日までに20万5000筆の署名が集まった。」との発表があり、会場はおおいに盛り上がりました。「署名の提出をめざす秋が山場になる。それに向けて、今日は1人でも多くのご遺族にお話しいただきたい。1人でも多くの参加者の方に聞いていただきたい。」とお話があり、今回の集会のもつ意義を参加者全員で共有することができました。
引き続いて、今回の集会では9名の過労死遺族の方からスピーチをいただきました。
産婦人科で働いていた当時35歳の父親を亡くされ、ご自身も医師を目指されている女性や、働き始めて半年で自殺された新採小学校教師のお母さん。遺族の方1人1人が涙ながらに「自分のような思いをこれからの未来の人々に、これからのこどもたちにさせないでほしい」と、過労死防止基本法実現への思いを伝えてくださいました。こうした声を受け取った会場の皆が「過労死防止基本法を何としてでも実現させなければ」と、改めて思いを一つにできたのではないでしょうか。
次に、自殺問題に電話相談を通して30年以上にわたり取り組んでこられた一般社団法人「日本いのちの電話連盟」常務理事で、過労死防止基本法の取り組みにもご賛同いただいている斉藤友紀夫さんからのスピーチです。近年、深刻化している医療現場での過重労働の問題に触れられ、「過労死や過労自殺が当たり前にくみこまれている社会の在り方を変えることが大切」と訴えられました。今回の集会では、他にも多くの賛同者の方にお話しいただきました。さまざまな現場で活躍されている方々がそれぞれに感じる過労死・過労自殺の状況に、改めて問題の広がりを感じましたし、社会全体で取り組むべき問題であることを実感しました。
また、今回の集会には、27名の国会議員の先生方にも、ご多忙のなか会場に駆けつけていただき、非常に頼もしいお言葉をいただきました。と同時に,ご本人は所用などで出席できないけれどもかわりに秘書の方にご出席いただいた国会議員の先生方も27名に及びました。議員立法制定に向け、本当に心強く感じました。
集会も終盤、ここで過労死防止基本法実行委員長の森岡孝二関西大学教授からスピーチです。森岡教授と家族の会代表の寺西笑子さんはこの集会の間、小宮山洋子厚労大臣に面会され、取り組みの説明や基本法実現への協力を訴えておられましたが、このスピーチではその報告をしていただきました。
そして最後に、家族の会代表の寺西笑子さんから、「初めて家族の会として厚労大臣と面会できた。これは、大きな前進、これまでの取り組みの大きな成果です。20代、30代の過労死が増えている異常な状況をなんとかしたい。私たちの家族は帰って来ませんが、今にも倒れる、しんどくて大変だという方の命を救うことで、私たちの家族の死は報われます。制定まで頑張りぬきたい。」と参加者の心を揺さぶるお言葉をいただき、割れんばかりの拍手をもって今回の院内集会は閉会となりました。
「大切な家族を亡くされた家族の方の『過労死が2度と起こらないような社会にしたい』 という思いにこたえるためにも、今回の集会を弾みに、100万人署名達成へ向け取り組みをより大きなものにし、絶対に基本法を実現させたい」。振り返ってみると、参加した皆がそういった思いを共有できるような充実した集会だったと感じます。
<ストップ!過労死 全国ニュース創刊号(2012年7月14日発行)掲載>