暑中お見舞い申し上げます。
6月21日に会期末を迎えた通常国会では、「防衛費の大増額」と「異次元の少子化対策」が重要政策とされました。しかし、防衛費の増額については、2023年度から5年間で総額43兆円とされ、所得税増税などの財源も決定されたのに対して、子育て関連予算については今後3年間は年3兆5000億円を積み増すとしながら、財源論は年末に先送りされました。
また、その内容としても、親の就労を問わず保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」のように実効性が不明なものが含まれており、また、児童手当の拡充についても16歳から18歳の扶養控除の廃止が検討されるなど、子育て世代の負担軽減にどこまでつながるか不明です。
少子化の根本的な原因には、低賃金により将来の見通しが立たない若者の増加や、仕事と子育てを両立できる環境の未整備、育児・教育関連費の負担の増加などがあります。限られた予算は、これらの解決に充ててこそ、国民の幸福につながり、ひいてはこの国のためにもなるのではないでしょうか。
どのような社会を望むのか、私たち一人一人が真剣に考えなければなりません。
時節柄、みなさま十分にご自愛ください。
(弁護士 松村 隆志)
(春告鳥第18号 2023.8.3発行)
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