皆様におかれましては、すがすがしい気持ちで新年を迎えられたことと存じます。
2022年4月1日から中小企業においても、パワハラ防止措置をとることが義務付けられます。2020年6月1日に改正労働施策総合推進法(通称「パワハラ防止法」)が施行され、すでに大企業においては職場におけるパワーハラスメントの防止対策が事業主に義務付けられています。中小企業においても、今年の4月に義務化されます。
厚生労働省が公表した令和2年度の「過労死等の労災補償状況」では、精神障害に関する事案において「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が出来事(※)別の支給決定件数のトップになっています。また、厚生労働省が発表した令和2年度・個別労働紛争解決制度施行状況によれば、相談内容として「いじめ・嫌がらせ」が9年連続でトップとなりました。
いじめやパワーハラスメントが社会問題になっていることは明らかです。パワーハラスメントは、それを行なった人物の想像を遥かに超えて、取り返しのつかない結果をもたらすことがあります。
パワーハラスメント防止措置の全面的な義務化が、いじめやパワーハラスメントの増加に歯止めがかかるきっかけになることを祈るばかりです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
※「出来事」とは精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において、一定の事象を類型化したもの。
(弁護士安田知央)
(春告鳥第15号 2022.1.1発行)