高度プロフェッショナル制度 厳しい視点で社会に訴える(春告鳥第8号 巻頭言)

 6月18日、大阪府北部を震源とする地震が発生しました。また、6月28日以降、台風第7号や梅雨前線による影響で、西日本を中心として集中豪雨が発生しました。各地で甚大な被害が発生し、連日、ニュースや新聞での被害報道がなされています。さらには、連日続く猛暑が重なるなどして、被害が拡大しているようです。

 被災された方々には、お見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。私どもでお役に立てることがございましたら、ご遠慮なくお申し出ください。

 そのような自然災害の発生に並行して、6月29日、参議院本会議にて、「働き方改革関連法案」が賛成多数にて可決されました。同法案に取り入れられている「高度プロフェッショナル制度」は、一定の労働者について、労働時間規制の対象外とするものであり、長時間労働の助長につながることは明らかです。同法案は、労働生産性の向上を主たる目的としており、労働者の健康や生命の安全を蔑ろにしてしまっているといわざるをえません。

 過労死ゼロの社会が実現することを願う者の一人として、同法案の問題点を社会に訴え続け、誤った運用がされることがないよう厳しい視点で非難をし続けていこうと思います。

(弁護士 稗田 隆史)

(春告鳥第8号 2018.8.8発行)