明けましておめでとうございます(春告鳥第7号 巻頭言)

 昨年の「流行語大賞」のトップ10に、「忖度(そんたく)」、「Jアラート」、「フェイクニュース」の3つが入りました。

 時の政治権力者に迎合して法の公正な執行を歪める「忖度」は、立法・行政のみならず司法の中でも広がっているように感じます。まともな外交努力もしないで、けたたましい音を鳴らし、国民に頭を抱えてしゃがむことを求める「Jアラート」は、国民の不安感を煽り、時の政権に都合よく利用されています。虚偽の事実でもツイッターやインターネットを通じて一気に拡散させる「フェイクニュース」は、社会の分断と対立を煽り、民主主義の危機をもたらしています。

 そんな中で、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」(弁護士法1条)私たち弁護士の役割は何でしょうか。依頼を受けた一つ一つの事件の社会的意味を考えつつ、事実に即して依頼者の正当な利益を守り社会正義を実現すること、そして、それぞれの弁護士の専門性を生かし、様々な諸活動を通じて立憲民主主義に貢献することだと思います。このことを改めて肝に命じ、努力して参りたいと思います。

 新しい年が、皆様にとって実り多き一年となりますように。

(弁護士 岩城 穣)

(春告鳥第7号 2018.1.1発行)