災害の国に生きる私たち(春告鳥第6号 巻頭言)

 暑中お見舞い申し上げます。

 俗に、世の中の怖いものの例えとして「地震、雷、火事、親父」と言われますが、最後の「親父」は、台風を示す「大山風」(おおやまじ)又は「大風」(おおやじ)がなまったものとの説があります(特に今の日本では、父親の威厳が乏しくなり、他の3つと並べられるのはちょっと違和感がありますね)。

 とすると、これら4つはいずれも災害を示し、これ以外にも日本では津波、大雪、火山爆発、さらには7月上旬に福岡・大分を襲った集中豪雨などもあります。そして、これらが全部ここ数年の間に起こっているのです。

 日本ではいつ自然災害が起こってもおかしくなく、ひとたび災害が起こるとたくさんの人が亡くなり、また、家屋も田畑も道路も一気に消失してしまいます。この国では、人々は助け合わないと生きていけないし、政治や行政は常に災害対策に力を注がなければならないのです。

 にもかかわらず、今の日本では、逆に人が人を傷つけたり貶める風潮がはびこり、災害への備えにも無関心になっているのではないでしょうか。

 様々な災害が起こるたび、私たちはもう一度力を合わせ、知恵を絞って災害に立ち向かわなければならないと思う今日この頃です。

 時節柄、皆様十分にご自愛ください。

(弁護士 岩城 穣)

(春告鳥第6号 2017.8.8発行)