「苛立ちの時代」に求められるもの(春告鳥第5号 巻頭言)

 あけましておめでとうございます。

 このところ、日本だけでなく世界のいたるところで、グローバル経済の進展により中間層が没落して格差と貧困が広がり、人々は心の余裕を失って偏狭、攻撃的になっているように思います。

 そして、しばしばその怒りは操られ、真の敵と異なる方向に向けさせられ、特には人類の英知が長年築き上げてきた制度や価値まで壊されようとしています。

 そんな中で、私たちに求められているのは、「共に語り、学び、笑い、歌う」ことではないでしょうか。

 昨年、大阪憲法ミュージカル「無言のレクイエム」の上演運動、「ゆうあい会」での谷口真由美さんや中田進さんを迎えての講演会、桂福点さんの古典落語、さらには過労死防止啓発シンポ大阪会場での桂福車さんの過労死落語「エンマの願い」の公演などにも関わるなかで、そのような思いを強くしました。

 当事務所は、依頼者の皆様に寄り添って事件やトラブルの解決に努めるとともに、依頼者や関係者の皆様とも一緒になって、このような草の根の取り組みにも積極的に関わり、自らが元気づけられ、また賢くなることで、人々の心の荒廃や権力の暴走に止めるささやかな力になっていければと思います。

 新しい年が、皆様にとって佳き1年になりますように。

(弁護士 岩城 穣)

(春告鳥第5号 2017.1.1発行)