「過労死防止基本法」制定の取り組みへのご協力を!

過労死が社会問題となり国際語「karoshi」となって20年以上が経つのに、過労死は後を絶たず、近年は過労による精神疾患、特に若者の過労自殺が激増するなど、いっそう深刻化している。過労死ラインとされる週60時間以上働く労働者(過労死予備軍)だけでも、男性労働者の25~30%に及んでいる。

 労働者は、いくら労働条件が厳しくても、会社にその改善を申し出るのは容易ではない。また、個別の企業が労働条件を改善したいと思っても、厳しい企業間競争とグローバル経済の中、自社だけを改善するのは難しい面がある。

 そこで、「過労死防止基本法」を定め、国が総合的な対策を行っていく必要があるのである。

 2008年秋、過労死弁護団全国連絡会議と日本労働弁護団が「過労死防止基本法の制定を求める決議」をあげたことを契機に、過労死家族の会と過労死弁護団の有志で過労死防止基本法の立法化の取り組みを開始した。2010年10月13日の衆議院議員会館での「院内集会」には、国会議員・秘書30名を含む170名以上が参加し、大きな盛り上がりを見せた(いずみ第29号既報)。その後有志で「準備会」をつくり、本格的な実行委員会を結成しようと準備してきた。

 そして、ついに2011年11月18日、衆議院第1議員会館で「ストップ!過労死100万人署名スタート集会 兼 過労死防止基本法制定実行委員会結成総会」を開催し、本格的な取り組みがスタートした。

 250人以上の参加者で会場は満杯、国会議員も代理の方を含め約20人が参加した熱気の中で、①今後100万人署名を中心とした積極的な取り組みを行う、②超党派の国会議員に働きかけをしていく、という方針が確認された。

 実行委員長には関西大学教授の森岡孝二先生が就任し、私は事務局長を務めることになった。

 私たちの求める過労死防止基本法の内容は、次のようなものである。
  ①過労死はあってはならないことを、 国が宣言すること
  ②過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
  ③国は、過労死に関する調査・研究を 行うとともに、総合的な対策を行うこと

 100万人という署名の目標は大変な数字であるうえ、これまで立法活動に関わった経験はなく手探り状態であるが、やる以上は元気に、悔いのないよう全力で頑張りたい。

 この「いずみ」に署名用紙とリーフレット、返信用封筒を同封させていただいた。ぜひご家族、ご友人の皆様にも署名へのご協力をお願いしてほしい。そして、集まった署名を送っていただければ大変ありがたい。なお、実行委員会のホームページ(http://www.stopkaroshi.net/)を開いていただけば、署名用紙やリーフレットもダウンロード・プリントアウトできるので、活用をお願いしたい。 

【弁護士 岩城 穣】(いずみ第31号「オアシス」2012/1/1発行)