「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」

 ある芸能人が飲酒のうえ自動車を運転し、女性をはねて、そのまま逃走したという事件がワイドショーを騒がせています。

 みなさんは、道路交通法上、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の二種類があることをご存知でしょうか。 お酒を飲んで車などを運転し、呼気アルコール濃度が0.15mg/l以上の場合、酒気帯び運転として、罰則の対象になります。したがって「酒気帯び運転」は、呼気に含まれるアルコール濃度の量によって判断されます。

 「酒酔い運転」は、アルコール濃度によって判断されるものではなく、「アルコールの影響によって正常な運転ができない恐れのある状態」かどうかによって決まります。まっすぐに歩けるかどうか、言葉や認知能力に問題がないかなどが調べられ、「アルコールの影響によって正常な運転ができない恐れのある状態」かどうかによって判断されるのです。

 罰則も異なります。酒気帯び運転は、アルコール濃度が0.15mg/l以上0.25mg/l未満だと基礎点数13点・免許停止(90日)の処分、0.25mg/l以上だと基礎点数25点・免許取消し(2年間)という行政処分のほか、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑事罰が定められています。

 酒酔い運転は、基礎点数35点・免許取消し(3年間)の処分のほか、5年以下又は100万円以下の罰金という重い刑事罰が科せられます。

 運転者のみならず、一定の場合には、車両提供者、酒類提供者や車両同乗者にも罰則が科されますから、社会全体として、飲酒運転をなくす意識を持つことが必要です。

(弁護士 安田 知央)

(メールニュース「春告鳥メール便 No.5」 2018.9.28発行)