マイナンバー制度ってなあに?

 マイナンバー制度とは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき、住民票を有する国民の一人ひとりに、1桁の個人番号(通称:マイナンバー)を付番し、各行政機関が保有している国民の個人情報をリンクさせることにより、行政運営の効率化や国民の手続負担の軽減を図ることを目的とする制度と言われています。
 マイナンバーの利用範囲としては、当初は社会保障、税、災害対策の分野が想定されていましたが、今国会で法改正がなされたことにより、個人の預貯金口座や特定健康診査情報等にもマイナンバーの利用が拡大されることが決定しています。
 平成年月以降、全国民に対し、マイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留による方法で郵送されています。
 この通知カードは、顔写真が記載されておらず、一般的な本人確認の手続においては利用できないとされていますが、国民は申請により、顔写真の記載のある「個人番号カード」の交付を受けることができます。こちらは、公的な身分証明書として利用できるほか、ICカード機能も有しており、様々な場面での利用が想定されています。
 このように説明すると、マイナンバーは国民にとって非常に便利な制度のように聞こえます。しかし、実際のところは様々な問題を抱えており、国民にとってさほどのメリットがないというのが現状です。
 また、マイナンバーは、行政だけでなく、民間事業者でも流通されることが想定されているため、情報の漏洩は避けられず、深刻ななりすまし被害や不正使用が発生することは避けられません。
 今のままでマイナンバーの使用が開始されれば、右記のような問題が発生することは明らかです。個人番号カードの取得は任意とされており、取得しなかったとしても罰則はありません。一度取得した個人番号カードが不正利用された場合、その被害はとても大きなものとなります。自分自身の個人情報は、自分自身で守るしか方法はありません。マイナンバー制度の内容の周知・徹底がなされていない現状では、個人番号カードを取得しないことが賢明でしょう。

(弁護士 稗田 隆史)

(春告鳥第3号 2016.1.1)