自転車の危険行為

Q
自転車に関する罰則が厳しくなったと聞きました。どのような点が変わったのでしょうか。
A

 近年、自転車事故による交通事故が多発していることから、平成27年6月1日に道路交通法が改正され、自転車による交通違反(危険行為)が厳しく取り締まられることとなりました。14項目の危険行為について、年間に2回以上の取り締まりを受けた場合(違反者には、違反切符が渡されます。)には、「自転車運転者講習」の受講(3時間、講習手数料5700円)が義務付けられます(対象は14歳以上)。危険行為とは、信号無視、遮断踏切立入り、一時不停止、酒酔い運転、制動装置(ブレーキ)不良自転車運転、酒酔い運転、安全運転義務違反などです。受講命令に違反し、講習に参加しない場合には、5万円以下の罰金が科されることにもなっています。 

 携帯電話を操作しながらの運転や傘を差しながらの片手運転、イヤホンを大音量で聴きながらの運転、2人乗りや無灯火運転などについても、事故を起こした状況によっては、危険行為の対象として取り締まりを受けることになります。傘スタンドを使用している場合であっても、他人に危害を及ぼしてしまったときには、危険行為の対象として取り締まりを受ける可能性がありますのでご注意ください。どうしても雨の日に自転車を運転しなければいけない事情がある場合は、傘を使用するのではなく、レインコートを使用することにしましょう。

 なお、大阪府では、平成28年7月1日に自転車条例が施行され、自転車保険の加入が義務づけられました。自転車での交通事故は、自動車同士の事故と異なり、頭部を保護するものがないため、大きな事故につながりやすい反面、自動車損害賠償責任保険のような強制加入保険がないことから、被害者は十分な賠償を受けることができず、また、加害者も十分な賠償を支払うことができないといった問題が多く発生していました。皆さんも、いつ、自分が自転車事故の当事者になるかわかりません。もしもの事態に備えて、自転車保険の加入をするよう心がけましょう。

(弁護士 稗田 隆史)

(春告鳥第5号 2017.1.1)