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活動報告
民法協の事務局長に就任して

 昨年8月から、「民主法律協会」(民法協)の事務局長に就任した。民法協は、「労働者の権利と平和・民主主義を守り、発展させる」ことを目的とし、 50年近い歴史を持つ団体である。現在会員は、大阪を中心に、弁護士・学者・研究者ほか約450名、労働組合・市民団体約250団体である。弁護士だけでなく、他の個人や団体が対等・平等の立場で手を携えて活動するのは、関西のすぐれた特徴の一つではないかと思う。私はこのようなネットワーク型の組織が好きである。

 民法協の活動は、大きく言って二つの分野に分かれる。

 一つは、労働者の権利を守る活動である。長く続く不況のもと、労働法の改悪にも後押しされて、企業内でリストラが推し進められ、正社員は減らされ労働条件は切り下げられ、パートや派遣、「請負」といった不安定雇用がどんどん増えている。本来歯止めとなるべき労働組合はこのような雇用情勢に対し、有効な闘いができないまま、組織率は二〇%を切り、労働者はノルマとリストラへの不安に苛まれながら、長時間労働やサービス残業を余儀なくされ、過労死・過労自殺、健康破壊が激増している。

 そんな中で民法協は、各種の「110番」や労働相談、労働事件への弁護団の配置、学習会の講師の派遣などを精力的に行っている。
 もう一つは、平和や民主主義に関わる課題である。これは、国民・市民の一人として、またそのような個人が集まった団体として、政治や社会に訴えていくものである。
 この方面で、現在取り組むべき最大の課題は、憲法・教育基本法の「改正」問題である。二大政党や財界は、憲法を「政府をしばる法」から「国民に道徳を説く法」に変え、また9条を改正して自衛隊を正式な軍隊にし、日本を「普通に戦争ができる国」にしようとしている。またその露払いとして、教育基本法を、「愛国心」を前面に掲げたものに改正しようとしている。これらの課題は、他の法律家団体や市民団体と一致点に基づいて共同して取り組んでいる。
 それにしても、過労死問題と欠陥住宅、数多くの事件処理で超多忙なところへ、こんな重大な役職を受けて、果たしてやれるのだろうか――。就任要請をいただいた時は正直迷った。しかし、かつて自らも民法協事務局長の経験を持つ蒲田弁護士をはじめ、事務所のみんなが温かく励ましてくれたこともあり、頑張ってみることにした。
 しかし、やっぱり忙しい。あれもある、これもしないといけない、というように、いつも課題と会議と細々した雑務に追われているという感じだ。任期は原則として2年だが、まだゴールは千里も先のように感じる。
 とはいえ、私がお願いした3人の事務局次長、5人の事務局員、2人の専従事務局はみんなすばらしい人たちで、一緒にワイワイ言いながら活動するのはとても楽しい。やっぱり自分は、こういった活動が「根が好き」なんだろうと思う。
 くしくも、民法協が結成されたのは私の生まれた年である。40代最後の2年間を、悔いなく過ごしたいと考えている。

(いずみ第18号「弁護士活動日誌」2005/1/1発行)

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